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■忙しい現代社会では、あなたも私も、子供も中年の方もお年寄りの方も!みんなが疲れています。
では、疲れってなんでしょう?エネルギー切れ?頭と体が動くだけのためのエネルギー切れなら、食べる事によって回復するはずですよね。
でも、エネルギー源を入れたって回復しない時もあります。
「疲れ」ってものは、睡眠不足とか、夏ばてとか、人間関係の問題とか、たくさんのストレスが私たちの身体・心にかかってきた負担の結果なのです。
「疲れている」ってイヤな感覚ですが、これが無いと多分休む事なく働き続けて、やがて、疲弊死を迎える事になるでしょう。
こんなふうに考えると疲労とは、大切なアラーム(警報)ですよね。
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疲れって何?
”休め”を命ずる重要な生体信号
休憩・眠りで治る場合
1晩で取れる場合
週や月の単位で長く続く場合
メカニズムが異なる?
疲労感のメカニズム
頭(脳)で感じる→脳神経機構
末梢神経疲労の場合
脳へのシグナル 伝達機構がある
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■私たち研究者は、「疲労」を「痛み」や「発熱」と同じように考えて、3つの生体アラームという説明をします。
例えば、「痛み」や「発熱」を考えてみてください。痛みがあれば、私たちは、どこに問題(きず、出血)があるかを知って、かばいます。熱があると身体を休め、また、身体の一部の熱には、感染・炎症の治療を行います。
疲れとは、つまり身体の異常を教えてくれて、何かの対策をしなさいと考えさせてくれる、大切な警報装置なのです。
■疲労と疲労感の違い、ストレスと疲労の混同 −オリンピックの高橋尚子選手はどちら?−
一般に、”疲労”は”疲労感”とほぼ同義語で使われている。すなわち、疲労は主観的な表現と解釈される傾向にある。
しかし、実は”疲労”と”疲労感”とはまったく異なるものである。たとえば、ゴルフによる疲労はほぼ同じ距離を歩くにもかかわらずスコアによって疲労度がまったく異なる。
また、つまらない単純作業はすぐに飽きて疲れてしまうが、やりがいのある仕事や楽しい作業(たとえばテレビゲーム)は総じて疲労感が少ない。
オリンピックマラソン種目で優勝した高橋尚子選手は2時間強、42.195kmに全力をぶつけ、極限の疲労状態であったはずだが、疲労感はあまり感じていないようにみえた。
一方、大学のつまらない教授会に出席している筆者はなにもせず2時間座っているだけで極限の疲労を感じてしまう。
このように”疲労感”は”意欲”や”達成感”に大きく影響されるのである。
しかし、実際の”疲労”は”疲労感”と、まったく別に存在する。
実際に、達成感のある仕事をしている人に過労死が多い。
これはやりがいのある仕事は達成感を生むが、この達成感が疲労感をマスクしてしまい、その結果、”疲労感なき疲労”が蓄積し、過労死に至らしめる。
この現象、すなわち”疲労感なき疲労”あるいは”疲労なき疲労感”は、筆者らがすでに実験によっても確認している。
では、疲労感とは異なる”疲労”とは、なにか。
”疲労”とは”身体的あるいは精神的負荷を連続して与えられたときにみられる一時的な身体的および精神的パフォーマンスの低下現象”と定義できる。
”パフォーマンスの低下”は”身体的および精神的作業能力の質的あるいは量的な低下”を意味する。

■では、今の日本社会でどのくらい多くのヒトが疲れているのでしょうか?
1998年の厚生労働省の疫学調査によりますと、
疲労感を自覚している人の割合は、約60%
(愛知県豊川保健所管轄内の2市4町、15才〜65才の男女4000人への疲労調査研究班調べ)でした。
その、疲労を感じている約60%の人のうち、37%もの人が6ヶ月以上も疲れを感じたままの慢性疲労を感じていることが明らかになりました。
また、以前に比べ、疲れのため、作業能力が低下しているように感じるとの回答をしている事が明らかになりました。
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